「見る」から「体験する」へ—エンタメの新しい形

映画を観る、音楽を聴く、本を読む。

エンターテインメントの楽しみ方といえば、長らくこのような「受け取る」スタイルが主流でした。でも近年、まったく違うジャンルのエンタメが急速に広がっています。それが体験型エンタメです。

体験型エンタメとは、参加者自身がコンテンツの「中に入って」楽しむ娯楽のこと。観客として物語を眺めるのではなく、物語の登場人物として実際に動き、考え、感じる——そういった体験が最大の魅力です。

謎解き、マーダーミステリー、脱出ゲーム、イマーシブシアター、ARGコンテンツ……。これらはすべて体験型エンタメの仲間です。

このコラムでは、体験型エンタメの主要ジャンルをわかりやすく解説します。「名前は聞いたことあるけど、どう違うの?」という方もこれを読めばすっきりします。


代表的な4ジャンルを解説

① 謎解き(謎解きイベント・謎解きカフェ)

謎解きは、出題される謎や暗号を参加者が解いていくエンタメです。

会場を貸し切った謎解きイベント形式と、カフェやバーなどの飲食店内で楽しめる謎解きカフェ形式があります。

謎のジャンルも幅広く、論理パズル・暗号解読・ひらめき系など様々。グループで相談しながら解くのが基本スタイルで、友人同士やカップル、家族での利用が多いです。

こんな人に向いている: パズルやクイズが好き、初めて体験型エンタメに挑戦したい、気軽に楽しみたい


② 脱出ゲーム

脱出ゲームは、密室や特定の空間に「閉じ込められた」という設定のもと、隠された謎やアイテムを見つけて脱出を目指すゲームです。

現在は全国各地に常設の専門店舗があり、アニメ・ゲーム・映画などとのコラボ企画も多数実施されています。制限時間(多くは60分前後)内に謎を解いて脱出できるかどうかがポイント。チームで協力して挑む達成感が人気の理由です。

難易度も初心者向けから上級者向けまで幅広く、ヒントシステムを用意している施設も多いので、初めての方でも安心して楽しめます。

こんな人に向いている: チームで達成感を味わいたい、ゲームやアニメが好き、友人と盛り上がりたい


③ マーダーミステリー(マダミス)

マーダーミステリーは、殺人事件を題材にした推理ゲームです。参加者それぞれが事件の登場人物(容疑者)の一人となり、犯人を推理しながら物語を進めていきます。

元々は中国で大流行したコミュニケーションゲームで、日本では2019年頃から専門店が登場しはじめ、徐々に広がっています。シナリオごとに異なる物語があり、一度プレイしたシナリオは二度と同じ体験はできない「一期一会」な性質が特徴です。

参加者は事前に配布されたキャラクターシートを読み込み、そのキャラクターとして他の参加者と対話・推理・駆け引きをします。ロールプレイ要素と推理ゲーム要素が融合した、ほかにない体験です。

こんな人に向いている: 推理小説やミステリーが好き、物語に没入したい、対話や駆け引きが好き


④ イマーシブシアター

イマーシブシアター(Immersive Theatre)は、「没入型演劇」とも呼ばれます。観客が舞台空間の中を自由に歩き回りながら、俳優の演技や物語の断片を体験していく新しいエンタメです。

演じる側と観る側の境界が曖昧で、参加者それぞれが異なる動線をたどることで、自分だけのストーリーを体験できる点が最大の特徴です。同じ公演でも、どこで何を見るかによって体験がまったく変わります。

さらに近年はXR(VR・AR・MR)技術と組み合わせた体験型コンテンツも登場しており、現実とデジタルが融合した新しい没入体験が生まれています。

こんな人に向いている: 演劇や芸術が好き、非日常な体験をしたい、新しいもの好き


なぜ今、体験型エンタメが広がっているのか

体験型エンタメが注目を集めている背景には、消費行動の変化があります。

モノを買うより「体験」にお金を使う「トキ消費」「コト消費」の傾向が強まっています。特にSNSが普及してからは、体験したことをシェアすることの価値が高まり、「みんなで一緒に体験して、語り合う」ことに大きな満足感を感じる人が増えています。

また体験型エンタメはその性質上、スマートフォンやネットに代替されにくい点も強みです。実際に足を運んで、リアルの場でしか得られない体験——これが、配信やデジタルコンテンツが溢れる時代でも根強い人気を持つ理由です。


初めて体験するなら、どれがおすすめ?

初めての方には謎解きをおすすめします。お家の中でも楽しめるキット型やオンラインで遊べる謎解きもあるので、まずはそこから体験してみましょう。

慣れてきたら脱出ゲームでチームプレイの達成感を、さらに深みを求めるならマーダーミステリーで物語への没入体験を、という順番がスムーズです。イマーシブシアターは演劇的な感性が楽しめる、より特別な体験として挑戦してみてください。


まとめ

  • 体験型エンタメとは、参加者自身が物語の中に入って楽しむ娯楽の総称
  • 主なジャンルは謎解き・脱出ゲーム・マーダーミステリー・イマーシブシアターなど
  • それぞれ楽しみ方や向いている人が違うので、自分に合ったジャンルから始めるのがコツ
  • 「体験」「つながり」「非日常」を求める現代のニーズにぴったりのエンタメとして、今後もさらなる広がりが期待される

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